法律事務所の成仏戦略(2)弁護士会を支える

弁護士の仕事のうちでお金にならない仕事の花形として、弁護士会に関する業務(いわゆる会務)があります。

 

会務を取りまとめるのは会長の仕事です。釧路弁護士会の会長は選挙で選ばれますが、選挙の仕方がやや変わっていて、全員の名前の書かれた投票用紙が配られ、適当な人間に丸を付けて投票を行います。

従って、近年の当会では20代の会長候補がいることは普通です。

かつて、全国最年少会長候補という触れ込みの弁護士がいましたが、当会の歴々の会長候補にはかなわないでしょう。

 

そして会長が決まると副会長、常議員及び道弁連理事の指名が行われますが、特に事前に打診されるわけではありませんので、役職は突然降ってくることになります。

私は副会長の経験はありませんが、常議員と道弁連理事に指名されたことはあります。

特に、今年は道弁連理事に指名されましたので、月に1回土曜日をつぶして主に札幌(ほか函館・旭川・釧路で各1回)で行われる理事会に出掛けなければならず、理事会の議題も事前に理解しておいたり、その報告をまとめたりしなければなりません。

常議員も概ね月1回は主に釧路で会議が開かれます。そして、会長や副会長が大変な仕事であることはいうまでもありません。

 

弁護士会では各種の委員会の活動もあり、私は憲法委員会にも属しています。

憲法委員会が設立されたのはここ数年のことですが、これまでは忙しいことはありませんでした。しかし、第2次安倍政権の誕生後次々と憲法絡みの問題を引き起こしてくれますので、その度に各種の対応を迫られ、他の仕事が止まってしまいます。

もう大変な迷惑であるとしか言い様がないのですが、96条改正、秘密保護法、集団的自衛権、等々扱わなければならない憲法問題が次々と押し寄せてきています。

しかし、他の業界団体は憲法問題についての意見なんかめったに出しませんから、我々が言わなければ誰が言うのかと思えば、やはりやらねばならないのです。

 

そして、最近の帯広独自の事情としては、民事介入暴力対策大会(民暴大会)の準備をするという仕事もあります。

弁護士会が各種大会を主催することは各地で度々ありますが、帯広のように支部で会員の数も限られているということになると、必然的に全員何かしらの担当を割り当てられることになりますから、自分は関係ないというわけにはいきません。

 

その他にも種々雑多な会務は多数ありますが、会務の関係は相当な時間と手間を取られる業務であるにもかかわらず、報酬が出るというわけでもありません。

 

報酬がない仕事をするのみならず、弁護士会には会費を払わなければなりません。会費の支払は弁護士の基本的な義務です。

私は帯広という支部の街にいますが、日弁連及び単位会に支払う会費のみならず、支部独自の会費もあります。これを含めると、帯広の会員は、岩国、山口に次いで、全国で3番目に高い会費を負担しているようです(年額114万円)。

夫婦で弁護士業を営む我が家に至っては、弁護士2人分の会費を払い、更に弁護士法人の割増分(年額38万4000円)も払っていますから、これはもう飛んでもないことになります。

 

このとおり、弁護士会を支える仕事は、お金のことを考えていたらできません。それどころか、高額な会費の負担すらあります。

しかし、そのことを恨んではいけないように思うのです。

戦後の昭和24年に弁護士達が必死になって現弁護士法を起案して国会を通し、年来の悲願であった弁護士会による完全な自治を実現したときのことを想起してみれば、これを維持することがどれだけ重要なことか理解されることです。

会費が高いとか、弁護士会は何もしてないとかの批判を他の会では聞くことも少なくない昨今ですが、負担の意味を良く考えて活動しなければならないと思います。

(つづく)

 

 

タイトルとURLをコピーしました