日弁連臨時総会・給付金に関する議案の件

年が明けてから、例によって弁護士会から委任状書いてくれとのFAXが届いた。日弁連の臨時総会に関する委任状である。

いつぞやの話、委任状の受任者が勝手に書き換えられていたとか何とかと騒ぎになったことがあったが、当会は遺漏がないので、委任状を出す場合には会長または副会長の氏名をきちんと書けという案内までしてくれている。

今回は会長に一任することにした。

給付金の議案

ただ、第1号議案の貸与制世代に対する給付金の件にだけは、わたくし自身はその世代ではないにせよ、言いたいことがある。

第1号議案は、端的にいえば貸与制の世代に20万円を配るという内容である。この世代が受けたダメージの回復のためであれば、やれることはやればよいと思うのであえて反対はしない。

とはいえ、どうもモヤモヤするというのが本音である。

貸与制の評価

国の政策として質の高い法曹を多数要請しようというのであるから、そのコストは国が負担すべきである、とわたくしは十数年前の弁護士になる前から言っていた。

ところが、司法修習65期から70期までの人は、無給での司法修習を強いられた。時間を拘束しても対価を出さないというのであるから、奴隷的拘束だというのはアレだとしても、割と強度な人権侵害である。

特に、無給で拘束されるという形で自身が正当に評価されなかったと感じられてしまうようなことがあるならば、それは人間の尊厳を強く損なう。そのような屈辱感はなかなか拭い難いのではないか。

結局、これまでと扱いが違う世代が生じたことは、法曹に様々な断絶をもたらすことになった。だからこそだと思うのだが、高い会費を取っているのに日弁連はロクなことをしないという声も強くなる。日弁連は求心力を発揮しようとますますムキになってあれこれやろうとするが、そのような余計な活動が増えるほど、会員からは冷ややかに見られる一方でしかない。

そんな状況は、20万円をバラ撒いたところでそう簡単に元には戻らない。札束で若い世代の顔をひっぱたいて公益活動をしろというのでは、ご都合主義の極みである。

法曹界に限った話ではないが、どうして、将来を担う人間を大事にしなかったのだろうか。

まとめ

以上、何を言いたいかというと、議案そのものに反対まではしないにせよ、「世代間に断絶が生じないよう力を尽くす必要がある」と指摘する提案理由には誤りがある。既に断絶は生じてしまっているのである。そして、その断絶は、経済的な問題もさることながら、その世代の心理的な問題としても刻まれたものであるから、残念ながらその影響を拭い去るのは難しいだろう。

法曹養成制度がぶっ壊されたことに対する当職のフラストレーションは今なお高まる一方である。誠に嘆かわしいことであると思う。

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