労働関係を巡る紛争に関しては、当事者が労働基準監督署に相談を求めるケースもあると思われるのですが、北海道内での近年の傾向としては、その相談件数は高止まりしているようです。
また、個別労働紛争に関する相談の件数は、その中でもおよそ2割程度を占めているといった実情にあります。
道内の労働相談件数等のデータ
具体的にいえば、北海道内の平成26年度のデータは次のようになっています1。
1.総合労働相談件数 36149件
2.個別労働紛争相談件数 7327件
3.助言・指導申出受付件数 215件
4.あっせん申請受理件数 191件
そうすると、このような多数の事件のうちには、法的な解決のためのレールに載せる必要がある案件も少なからず含まれているようにも思われます。
帯広での新たな取り組み
そこで、帯広では、労働基準監督署と連携して、労働基準監督署を経て弁護士への相談を申し込んだ相談者(使用者か労働者かは問わない)について、無料相談に応ずる取り組みを始めることになりました。
具体的な実績を挙げられるかどうかは今後に掛かってきますが、このような取り組みも、行政上の対応だけでは解決できない個別的な紛争について、弁護士が関与して具体的な解決を目指すという点で意義のあることだと考えられます。
今後に向けて
最近の動きとしては、例えば、養育費の支援事業であるとか、児童相談所への弁護士配置など、厚生労働省の所掌事務の関係でも行政活動と弁護士の連携を進める方向性が出てきているように見えます。当地での取り組みに関しても、新たな活動だけに試行錯誤しながらということになるのでしょうが、今後の運用の進展を期待したいと思います。