城跡と裁判所(16)函館地方裁判所

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北海道には数少ない近世の城郭跡の中でも、おそらく最大の規模を誇るのが函館にある五稜郭です。もっとも、幕末に奉行所を移転するために建設されながらも、すぐに戊辰戦争の舞台となってしまい、奉行所として使われた期間は僅かなものでした。

地面からは形がよく分かりませんが、隣接する五稜郭タワーに上ると、特徴的な星形の堀割をはっきり観察することができます。

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函館地方裁判所の庁舎です。五稜郭からは少々離れて旧市街地に近い方に位置しています。函館は、これまで北海道の開発の入り口となってきた歴史のある街ですが、函館の裁判所も司法裁判所として北海道内では一番古い歴史があります。

ところで、函館にはかつて札幌高等裁判所の支部がありました。函館支部を廃止するという話が出た際、函館の弁護士は猛反対をしました。ところが、札幌の弁護士は反対しなかったため、当時の函館弁護士会は、脱退してどこへ行こうとしたのかは分かりませんが、北海道弁護士会連合会を脱退しようとしたことまであったようです。

後にこのような評価がなされています。

しかし、道弁連に属する四弁護士会内最大の札幌弁護士会が廃止反対に積極的でないことはその後の道弁連の取り組みも不十分なものとし、札幌高裁函館支部は昭和四六年に廃止された。自己の職業上の利益のみを考えた札幌弁護士会の活動が結局は国民の裁判を受ける権利の行使を困難にさせた一事例と言えよう。1

もちろん、今でこそ、北海道弁護士会連合会に所属する4つの単位会は協力しながら活動していますし、特に、札幌弁護士会には他会の過疎地域での活動にも積極的に貢献して頂いているような時代です。今年は釧路弁護士会が民暴大会を主催しますが、これも札幌の先生方の多大な協力を頂いて開催にまで漕ぎ着けています。まさに、隔世の感があるといったところでしょうか。


  1. 北海道弁護士会連合会『道弁連五十年の歩み』21頁 

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