道北の独立簡裁

地家裁またはその支部に併設されていない簡裁(以下「独立簡裁」という。)は、都市部の場合は事件数が多いという理由で存在していることもあるだろうが、地方では人口過疎地の司法手続の便宜のために存続している場合があり、そうすると行くのが大変な場所に所在していることがある。

さて、旭川地裁管内には独立簡裁は4か所存在する。そのうち、深川簡裁と富良野簡裁は、うちから行こうと思えばそんなに大変ではない。富良野簡裁なんかは管轄的にもうちのお隣さんである。

しかし、残りの2つについては、余程行こうとする意志が強くないと行くことはないのではないかという気がしたので、その2か所を見てきた。

中頓別簡易裁判所・旭川家庭裁判所中頓別出張所である。

中頓別町は宗谷地方の山間部に位置しており人口は1600人余りである。ちょっと前に、中頓別ではたばこのポイ捨ては普通だとか村上春樹が小説に書いてしまって話題になったことがあったけれども、ノーベル賞が取れないのはその呪いなのであろうか。

この簡裁が管轄している地区の中では海沿いにある枝幸町や浜頓別町の方が人口規模が大きいが、昭和63年の簡裁の統廃合の際にも生き残って今に至っている。この地区では、弁護士は枝幸町に一人いるのみである。法テラスが採算が取れないという謎の主張をして司法過疎に対応する地域事務所の設置を拒んだため、公設事務所が開設されたという経緯があると聞いている。

なお、どのくらい行きにくいかというと、最寄りの鉄道駅(音威子府駅)へ出る路線バスが今では1日2往復しかない状況である。この裁判所に用がある場合には車で行った方が良さそうである。

 

天塩簡易裁判所・旭川家庭裁判所天塩出張所である。

天塩町の起源は江戸時代に遡るから、道内では古いほうである。この裁判所は天塩町のほか、近隣の豊富町・幌延町・遠別町を管轄している。いずれも今では人口二千から三千人台の規模といった自治体である。

この簡裁の管轄区域には弁護士はいない。弁護士のいる最寄りの街は約70キロ先の稚内市ということになる。

以上のとおりで、移動の大変さは体感できた。また、裁判所だけではなく、枝幸町や天塩町には警察署もあるので、旭川の弁護士会の人たちも日ごろからなかなか苦労があるものと思った次第であった。

タイトルとURLをコピーしました