平成29年司法試験の結果について

今年の司法試験の結果の発表が、平成29年9月12日にあった。

そこで、昨年までのデータに継ぎ足して今年もグラフを作ることにして、若干の感想を述べてみることとしたい。

 

受験者数と合格者数

受験者数は昨年より932人も減少した。

今年は、総合評価の対象者が過去3番目に少ない3594人であった。択一試験と論文試験各科目の25%点で足切りされた人が多かったということで、不得意な分野を作らない勉強が大事だということではあるのだろう(月並みな感想ですみません)。

そして、合格者数は40人の減少となった。合格者1500人台というのは、各方面から叩かれにくい数字という消極的な意味があるのだろう。何人になっても文句をいう人は必ずいるわけだが、そのうちもっともマシなところということである。

 

合格率

対受験者での合格率は25.86%となり、昨年より上昇した。とはいえ、ほぼ4人に3人は落ちるのでそう簡単な試験ではない。

ただ、合格者数が大きく変わっていないので、合格率が上昇したのは単純に受験者が減ったからだというような読み取り方にならざるを得ないようにも思われる。

 

法曹人気の復活なるか?

さて、合格率の上昇は、法科大学院への入学者数の回復に結びついたり、法曹人気の復活につながるだろうか。

法科大学院への入学者数は年々減り続けていたから、司法試験の受験者数もそれに対応して今後も減り続ける。そうすると、資格試験の水準を維持する観点から、合格者数の水準をそのままにしていて良いのかという議論は出て来ると思う。

そうなってくると、どうにも先行きが読みにくい雰囲気である。そこで、結局、法曹になった場合の経済的なメリットが強く見込める環境にならない限り、資格取得のコストが高い法曹への人気は復活しないだろう。

え、大成功している弁護士もいる?それはごく一部であって、そんなに確実ではない。法曹志願者を増やすために弁護士の魅力をアピールしろとどこかから聞こえてくるが、不用意にいいとこ取りして悪徳商法の勧誘みたいになってはいけない。

 

まとめ

現職の弁護士たちからすれば、過当競争は避けたいので合格者をもっと減らせ、という議論はある。その点をどう評価すべきか、色々考えているが相変わらず難しい問題である。

とはいえ、司法試験の合格者数に極端な変動がない限り、当面は弁護士人口が減ることもない。従って、それがまともな競争になるのかおかしな競争になるのかは知らないが、競争環境は緩和されないということである。

当職としては、法曹人口の多寡にかかわらず生き残るための工夫に励むしかないようである。弁護士業界も人材が増えた分だけ多様になり、特に、若い世代は社会の変化に良く対応しているようにも見えるから、そういう動向を柔軟に見習う必要も強まっているようには思う。

 

 

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