釧路地裁本庁からお知らせがありました。
お知らせの趣旨としては、帯広支部ではテレビ会議システムを釧路本庁との間で利用することが可能であるから、労働審判についてもこれを活用してはどうか、ということでした。
帯広から釧路までへの距離は120キロありますから、移動の手間が無くなるメリットはあります。
労働審判でテレビ会議は使えるの?
使えるようです1。
ただし、現状では、テレビ会議システムを設置してある裁判所は、各地裁本庁と、その一部の支部等に限られています2。
テレビ会議のシステムが当地の支部でも稼働しているということはこれまで頭になかったので、早くご案内していただければ良かったなあという気もしないではありません3。
ただ、労働審判の手続の実際からすると、期日を全部テレビ会議で済ますというのはどうか、という議論は当然ありうるところかと思います。労働審判では一回目の期日で証拠調べをできるだけやってしまうという運用が通例かと思いますし 、事案によってはテレビ会議だとやりずらい、ということはあるかもしれません。
支部機能の拡充
一方では、テレビ会議の利用が進むことで、支部機能の拡充の方向性からは逆行するのではないかとの懸念も、帯広の会員としては否定しがたいところではあります。
ただ、この点も、帯広支部に労働審判を誘致を出来なかった理由としては件数が少なすぎるという点があるようにも思いましたので、移動の負担が減って労働審判の利用がしやすくなるということであれば、それは歓迎した上で実績を作っていくという方向性もあるのかもしれません。
いずれにしても、手続が使いやすくなることで利用実績が増えることには期待したいと思います。
裁判所からのお知らせには根拠条文は書かれていなかったので検討してみると、まず、労働審判法29条1項で準用される非訟事件手続法47条1項により証拠調べ以外の手続は音声の送受信による方法によって行うことが可能である。そして、同じく労働審判法17条2項により証拠調べは民事訴訟法の例によるとされているから、同法204条、同210条、同215条の3により、映像と音声の送受信による方法での証人尋問・当事者尋問・鑑定人の意見陳述は可能である。 ↩
平成28年1月末時点で設置してある本庁以外の裁判所は、立川、小田原、熊谷、松戸、土浦、下妻、足利、沼津、浜松、松本、長岡、東京簡裁墨田庁舎、堺、姫路、葛城、岡崎、四日市、福山、津山、久留米、小倉、佐世保、延岡、郡山、いわき、八戸、帯広、西条とのことである。 ↩
平成28年3月の裁判所の広報資料にはテレビ会議の案内がある。(PDF)http://www.courts.go.jp/vcms_lf/H2803kouhou.pdf ↩